2013年8月25日

偽装だらけの世の中さ。産地に足を運んで作る現場を見てみよう。

2013年は、食品偽装オリンピックが開催されたのかと思うくらい、
日本中のあちこちで食品の表示と中味を偽るツマラナイ事件が横行した。
信頼度が高いと思われていた高級なホテルや料亭ほど訳のわからない偽装があって、
パナメイエビなんて聞き慣れないエビの名前がメジャーになったりしたんだけど。
俺から見れば、これは、起こるべくして起こったことなんだよね。
日本は、1970年代から消費主義が蔓延するようになって、
消費者をマスメディアの宣伝でもって徹底的におだてあげて、
どんどん金を使わせるようにしないといけないという雰囲気がある。
神様になった消費者は、とにかく安く良いものを要求するようになった。
特に食品産業、外食産業あたりは、がんばって、消費者の夢を叶えてしまう。
例えば、ウナギなんて昔は高くて当り前のものだったんだけど、
少し前からチェーンの牛丼屋でウナギ丼が5,600円で食えてしまう。
まあ、それでウナギが資源として枯渇して、獲れなくなって、
ここのところ大変だけどね。
昔ながらの街の鰻屋がトバッチリを食って潰れたりしているのは気の毒な話だよね。
高級な霜降りの牛肉を安く食いたいという消費者のわがままを真に受けて、
業者も競争と努力を重ねて、普通の牛の赤身肉に脂を注入して
霜降り肉を作ってしまったりする。
俺に言わせると、安いパナメイエビを使って安くてウマい料理を作ればいいし、
安い牛肉でもその肉にあった料理があると思うんだけど、
なんだかブランドの匂いがするものに仕立て上げて、消費者がお得感を感じるようにしたいというのが、
いろんな間違いを生んでいると思うね。

食の信頼ということが気になるんだったら、話は簡単。
実際に作っている現場に足を運んでみればいいんだよ。
2013年の6月に新潟県十日町市の田んぼで魚沼産十日町コシヒカリを作っているのを
見てきたんだけど、これはオモシロかったね。

米どころの田んぼは、毎日の労働で手間ひまかけられた美しさがある。
ちゃんと手入れされた田んぼを見てで実際に働いている人を見ると、
やっぱり感動するよね。一生懸命作ってるんだなーと。
それで、この人の米が食いたいと思ってくるんだよね。
この写真の田んぼは、スゴかった。

樋口さん田んぼ2

後ろは険しい山で、前は流れの速い川に囲まれた田んぼなんだよね。
だいたい4ヘクタールあるんだけど、隣に他人の田んぼがないんで、
理想を追求できると言ってたね。
関東平野の埼玉とか茨木、栃木あたりによくある辺り一面に広がっている田んぼは、
いろんな農家の田んぼが入り混じってるのが普通なんだよね。
だから、減農薬とか有機を試したくても、隣の田んぼから化学肥料やら農薬やらが
水路を通して流れてきたり、風にのって飛んできたりと、どうしても影響を受けてしまう。

この十日町あたりは中山間地といって、一面に広い面積の田んぼが作れないんだけど、
それを逆手にとると、この田んぼのように、「こういう米づくりがしたい!」という
米に対する想いがしっかりある農家さんが理想の米づくりをすることができるんだよね。

この人は、樋口さん。
054 樋口さんアップ

笑顔がいいよね。本当にウマい米を作るのが好きというのが喋ってるとわかる。
この樋口さんが実際に働いているところを見てしまうと、
この人の米を食いたいと思うのが人情だよね。

白羽毛の米

名顔見知りになったら、お取り寄せで買えばいいんだし。
作っている人から直接買うのが、いちばん安心だよね。
だから産地に足を運んで実際に作ってる現場を見てみるのをオススメするね。

白羽毛ドリームファーム

エンテツの米の話

遠藤哲夫(えんどう・てつお) 1943年(昭和18)新潟県六日町(現・南魚沼市)生まれ。庶民の快食を追求するフリーライター。通称“エンテツ”。著書に『汁かけめし快食學』『大衆食堂パラダイス』(ちくま文庫)など。現在、ちくま新書より新刊『大衆めし激動の戦後史―「いいモノ」食ってりゃ幸せか?』が発売中。