2014年3月6日

あの鯨カレー缶を3年ぶりに食べました

美味しい米のごはんを食べて笑う。
それも素晴らしいコメディと考える松尾貴史です。

今年も3月11日が近づいてきましたが、
個人的に思いだすことがあります。

それは、震災前に石巻の木の屋石巻水産さんと一緒に作った
カレーの缶詰「スパイシー鯨術カレー」のことです。
津波で流された缶詰工場のあとに埋まっていた泥まみれの缶詰を
東京世田谷の経堂に車で運び、洗って1個300円で希望者に譲り、
最終的に20数万缶の実質的な売上げになり、工場の復興の助けになった実話は、
テレビや新聞でたくさん取り上げられたので、ご存知の方も多いと思います。
「きぼうのかんづめ」という絵本になっています。

実は、木の屋石巻水産さんと経堂の街は、
この「にほんいちプロジェクト」のプロデューサーでもある
さばのゆの須田さんが中心になって、震災の一年前から仲が良く、
毎月のようにイベントをして人の交流も活発でした。

ぼくも自然に木の屋石巻水産さんの社員さんたちと仲良くなり、
2012年の7月、営業部の鈴木さんと須田さんをまじえた3人で、
経堂西通りの「きはち」で飲む機会があったんです。
いやー、鯨談義で盛り上がりました。
というのも、木の屋石巻水産というのは、鯨とともに60年という会社。
鯨の大和煮缶はじめ、美味しい鯨製品をたくさん作っていたんです。
関西人のぼくは、子供の頃から鯨に親しんできたこともあり、
鯨が本当に好きです。その食文化は世界に誇るべきと考えています。
そんな飲み会の最中に鈴木さんが聞いてきたんです。
「松尾さん、なにか新しい鯨の食べ方のアイディアありませんか?」
ぼくは即座に「カレーの缶詰がつくりたい」と。
「おもしろいですね!」と、鈴木さん。

そして、ぼくが監修ということで、木の屋さんとカレーの缶詰を作ることに。
レシピをパンニャの渡邉シェフと作り、そのレシピを石巻とやりとりして、
試作を重ねて、2012年の年末くらいに「これは!」というものになりました。
2013年に入ると具体的な製造に入り、
さばのゆでイラストレータさんたちによるパッケージのコンペが行われ、
2013年2月末にイラストレーターのいたばしともこさんのパッケージで、
スパイシー鯨術カレーが完成したのです。

発売予定は、3月中旬ということでしたが、
先行して、ラベルなしのものを幾つか送ってもらい、
自分たちでラベルを印刷して、やっとできた!と、感慨に耽ったりしていました。

そんな鯨カレー缶ですが、
2011年3月11日に工場もろとも流されてしまいました。

この写真が3年前のスパイシー鯨術カレー。
有名な金華さばの缶詰も震災前の懐かしいデザインです。

鈴木さん鯨術カレー(その1)

震災後、工場が流され缶詰が作れなくなったので、
缶詰鯨カレーは、レトルト「石巻鯨カレー」として復活。
ささやかながら復興のお手伝いをさせていただきました。

それから3年。
先日、木の屋の鈴木さんが、さばのゆに来られた時に、
スパイシー鯨術カレーを開けてみようということになりました。
震災から3年。缶詰の賞味期限も3年なのです。
鈴木さん、うれしそうです。

鈴木さん鯨術カレー(その2)

さばのゆのお米は、魚沼産十日町コシヒカリです。
はい。こんな感じです。これは美味いんです。

鈴木さん鯨術カレー(その3)

昨年5月に缶詰工場が再建されたので、
「また鯨カレーの缶詰を作りましょう!」と、鈴木さんが言ってくださっています。

楽しみです。

松尾貴史の米ディ研究所

松尾貴史(まつお・たかし) TV・ラジオ・映画・舞台・エッセイ・イラストなど分野にこだわらない活動の傍ら、東京・下北沢と大阪・福島でカレー店『般゜若』を経営。また、京都造形芸術大学にて映画学科客員教授も務める。