2013年11月25日

ウマい米を食いたいなら消費主義にご用心(その1)

米のウマさを噛み締める時に注意したいのは、消費主義だよね。
現代人は、カネさえ払えば、「主人」「王者」「神様」という態度になるのが多い。
その根本には、消費主義があると思うんだよね。
「お客様は神様です」という日本独特の言葉があるけど、
「お客様は神様です」を店の側ではなく、客の側から言ってしまうのが消費主義だね。
いつだったか忘れたけど、
100円ショップのレジで偉そうにしてる人を見た知り合いがいたけどね(笑)

十日町若井さん12

「金を払う方が、生産する人よりも偉い」という風潮が消費主義で、
最近は、自分が消費主義にドップリつかっていることを自覚してない人が多いね。
生まれたときから消費主義のなかで育っているから。
70年代後半に日本人の9割が「中流意識」を持つようになったけど、
実態は、資産的に中流になったのではないんだよね。
家電製品やクルマを持ち外食やグルメが楽しめるようになった。
つまり工業製品が技術革新のおかげで安くなり消費生活が「豊か」になっただけ。
それを「中」の生活つまり「人並み」だと思った。
それをマスコミが「中流」だと喧伝したので、「中流意識」ってことになったんだよね。
ほんとうは「中流意識」というより「中流気分」なんだよね。
日本のマーケティングは、ただただ国民の「中流気分」を損ねないように、
マスコミ総出でおだてあげ、財布のヒモをゆるめることを追求してきた。
「消費者は賢くなった」とか「新しい消費者は」みたいなフレーズを使いまくってね。
中流でもなければ、賢くもなっていないのに。
生まれたときから、そういうなかで育って、
すっかりソノ気になっているのが、いまの消費者。

??-686

とにかく安くてウマくて消費者にとって心地よいものを追求する風潮の中で、
やっぱり忘れられているのが、生産者と産地のことだよね。
魚沼産十日町コシヒカリは、高いと言われるけど、
2013年6月に十日町の田んぼを取材した時にあらためて思ったのは、
ウマい米をつくるのは手間ひまかかって大変なんだよね。
聞いてみると、決して儲かっているわけではない。
米が好きだから作っているという人が多い。
でも、消費者が心地よくなることが善という消費主義の論理だと、
それ相応の値段が付いているものを排除してしまうんだよね。
それは問題だと思うね。

(その2に続く)

エンテツの米の話

遠藤哲夫(えんどう・てつお) 1943年(昭和18)新潟県六日町(現・南魚沼市)生まれ。庶民の快食を追求するフリーライター。通称“エンテツ”。著書に『汁かけめし快食學』『大衆食堂パラダイス』(ちくま文庫)など。現在、ちくま新書より新刊『大衆めし激動の戦後史―「いいモノ」食ってりゃ幸せか?』が発売中。