2014年1月7日

田んぼの常連になってみる(その1)

俺は大衆食堂にどっぷりハマってきたから、
何を語るにも家族経営というか、
個人経営の大衆食堂での体験が元になっている気がするんだけど、
自分にあったウマいものを食おうと思ったら、
やっぱりそれは馴染みの店、自分が常連の店で食うのが一番だよね。
人生で一番馴染みの味というと、
それはやっぱり母親の味ということになるんだろうけど、
大人になってハマる飯屋は、どこか故郷のイメージを重ねあわせているところがある。

みよしC定食

馴染みの店は、まず気分がほっとするところがある。
チェーン店のように「早く金を使って食って出て行け」って空気はなくて、
「まあ、とりあえず、自分のペースで食って行ったら?」
「飲みたかったら酒も飲んでいいよ」って感じだ。
店がヒマだったら喋りかけてもいいし、向こうも適当にのってくれる。
同じカウンターに顔見知りがいることも多い。
まあ、気取らずにいられる自分の居場所というのかな。
たまに頼んでもないのに野菜の煮物を小皿に入れてポーンと出してくれて、
「田舎から野菜たくさん送ってきたから」とか。
いいもんだよね。
つまりは、サービスがマニュアル化されてない世界なんだね。
そうやって一軒の大衆食堂に馴染んでいくと、
時間がかかるけど、いろんなことが見えてくる。
米をどうやってウマく炊いているかとか。
いろんなメニューに隠れた工夫があるとか。
少しずつ味を変えているとか。
そういったことがわかってくると、もっとウマくなる。

十日町若井さん13

で、何が言いたいかというと、田んぼや畑も同じだと思うんだよね。

(その2に続く)

エンテツの米の話

遠藤哲夫(えんどう・てつお) 1943年(昭和18)新潟県六日町(現・南魚沼市)生まれ。庶民の快食を追求するフリーライター。通称“エンテツ”。著書に『汁かけめし快食學』『大衆食堂パラダイス』(ちくま文庫)など。現在、ちくま新書より新刊『大衆めし激動の戦後史―「いいモノ」食ってりゃ幸せか?』が発売中。